己という飾りで仕立てあげた豪華絢爛な華を



散らせてみるのも、また一興。










散りゆく華   【その壁を、越えた先に・番外編】










「剣心、この手は何かしら」

腕の中には俺が贈った浴衣を身につけた薫が居る。薄く染めた紅梅が薫の白い肌によく映えていた。
その下一面に咲き誇る櫻の華。やはりこの女には櫻がよく似合うのだな、と改めて思う。
ぼんやりとそう悦に入っていると、薫が硬い声色で呟いた。


「何って?脱がすのを手伝おうとしているのだが」

「あの……だから、何で脱ぐの?私、さっき着たばかりなのに」

緋色の帯紐を解こうとしている俺の手に、薫の手が重なった。
少しずつ力が加わっていくそれを俺はそっと掴み取ると、薫の耳に近付けてやんわりと言葉を落とす。


「薫…。知っていた…?」






男が女に着物を贈るという事は




それに包まれた躰も頂くという意味なんだよ







そしてそっとついばむような口付けを、白く透き通った彼女の首筋に落とす。

「西洋のある国の風習でござるよ」


滑らかな肌の上に咲く淫らな痣。僅かに開かれた障子の隙間から入る風がそれを撫でた。
ふと感じた冷たさに、薫は我に返ったのか今までに見たことの無い程狼狽えた表情で俺を見る。



「ちょっ…と…え…あの」
「というわけで、薫殿」

これでもか、と云う程に頬を真っ赤に染め上げた薫の顔の輪郭を、指の腹ですうっと辿るように撫で上げた。


「待って…あの、私……初めてだしっ…」

男の所有欲を刺激する発言に頬を緩ませながらも、俺の心は薫の躰を縛りつけたまま離さない。
俺は右手で薫の両手首を掴むと、そのまま彼女を組み敷いた。ぱさりと畳一面に広がる藍色の髪。


「心配いらない。拙者がゆっくり教えてあげるから」

「ちょっ…剣心!」



声を荒げて抗議する薫の顎を開いた左手でくいと引き寄せて、そのままそっと口付ける。
始めは優しくだんだん激しく歯列を割って舌を差し込み、彼女を奥まで犯してゆく。
薫の躰の力がふ、と抜けたのを確認すると、俺は唇を離し、潤んだ瞳で己を見つめる愛しい女へ甘く囁いた。







「確かなものが欲しいのでござろう?」








俺の堅く閉ざした心の鍵を開いたのはあなたなんだ。









「俺が君をどんなに想っているか知らないだろう   ?」





不安など感じないくらい、君を俺で満たしてあげる。




火をつけたのはあなたなんだ。




最後まで責任をとってもらうよ、薫   










【終】



後書き

えぇと、すみません五月様、実はこのオマケを書きたいがために本編で緋村さんにコソコソと動いてもらいました。笑
作中に出てきた風習は昔何かの文献で見たものなのですが、発掘する余裕がなく誤魔化した感が満載で申し訳ないです(・_・|
しかも緋村さんがうってかわって黒ヒムになってます、すみません、完全に早智の趣味です↓

拙いものですが宜しければ貰ってやって頂けたら嬉しいです。

【百鬼夜行】管理人・早智







本編を頂いてから「この作品には、おまけといいますか、番外編があるのですよ」とぼそりと呟かれた早智様の言葉を聞き、こちらも頂きました!
実際ヤっているのは(失礼)例の店にありますが、直前のこのお話というのが・・・悶えますッ

「男が女に着物を贈るという事は
それに包まれた躰も頂くという意味なんだよ」

なんて素晴らしい風習なんだ!
そしてなんてものを書いてくださったのか早智様!
頂いたケーキにはどうやらイヤンな薬も仕込んであったようです。

黒ヒムサイコー!
違う、最高なのは早智様だ!!
ハラショー!!!



・・・で。
この先のお話もあると前述してありますが、見たいですか?
見たいですよねぇぇぇ?
ご覧になりたい方はMASK入室時の注意事項を熟読の上、おいでくださいませ。



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