最後まで責任をとってもらうよ 。
今宵、己の腕の中で咲き乱れる一輪の、華。
散りゆく華
祭りの喧騒の名残を漂わす秋風が、そうっと撫でるように駆け抜けていった。
生じた寒さに身震いをした薫を包み込むように、俺は両腕を広げ、彼女をすっぽりと腕の中に収める。
こちらから見えるのは赤く染まった薫の耳だけで。
露になった裸体を前屈みになって懸命に隠す彼女のその耳たぶに唇を這わせると、そっと甘噛みした。
「う……ンッ」
高く鳴く薫に誘われて、舌を耳の中へと差し入れる。
次第に全身に込めた力が解かれてゆくのを感じると、吹き出物一つ無い陶器のような背中の筋を、右の人差し指で辿るように撫で上げた。
幾度かそれを繰り返していると、薫の躰は何かに酔い痴れたかのように、己の胸へと身を預けていた。
心なしか歪む口角。
力を失った薫の躰をそのまま反転させる。
二つの眼―まなこ―の前に晒された裸体を指先で丹念に辿っていく。
羞恥に染まる薫の唇から漏れる湿った吐息。丁度指先が腰の一番括れた箇所に到達した時、それは甘さを増した。
「・・・あァ・・・ッ」
ここが、弱いのか 。
掌で下から上へと、壊れ物を扱うかのように触れるか触れないかぎりぎりの動きで、俺はそこを幾度も撫で上げた。
淫靡なその動きに、薫は気付いていないのだろう、無意識に腰をくねらせている。
「どうした・・・?」
本当は、分かっている癖に、気付かないふりをして、俺は薫に問いかけた。
勿論、掌はそのままで。
「何・・・か、ァッ・・・変な・・・の・・・」
息もたえたえに薫が応える。
「何が?」
「から・・・だ・・・がッ・・・ぞくぞく・・・してッ」
「ふうん・・・」
俺は薫の両腕を左手で掴んで拘束し上へと持ち上げると、そのまま彼女を組み敷いた。
こうすれば、女の乳房は盛り上がったように上を向き、愛撫しやすい状態になる。
そして右手は腰を弄ったまま、舌先でいつの間にか堅く尖った乳房の蕾の周囲をぐるりと舐めあげた。
「ふあぁ・・・ッ」
甘く鳴く薫の姿。けれども何度かそれを繰り返していると、曇る吐息の向こう側に覗く薫の瞳が幾度か不満げに揺れ始めたことに気付き、
俺は再び、耳たぶを軽く咬んだ。
そろそろ、だな 。
「やッ・・・あァ・・・ッ!」
解放してと主張する其処を口内に含むと、思ったとおり薫の身体は一段と高く跳ねる。
舌先をぐるりと転がすように動かしながら、右手を腰から離し、もう一つの頂を指先で摘みあげた。
途端に薫の表情に深く刻まれる快感の悦び。
「ぁあぁ・・・ッ」
薫殿は隠し事が下手でござるなあ 。
いいわよね、剣心はいつも落ち着いていて、大人で。私の事だって、どうせ子供だと思ってるんでしょっ 。
なにも、分かっていないんだよ、君は。
存分に味わい尽くしたその蕾から唇を一旦離し、始めて与えられる疼きに顔を歪ませる薫に深く口付けた。
舌を差し入れ、角度を変えて、より深く中へ押し入ろうとすればする程、俺の中で燻っていた思いが弾けていくのを感じる。
「ふ・・・ぅぅッ・・・」
拘束していた薫の両腕に力が込められたのを合図に、俺は左手で彼女の太ももを下から上へと繰り返し撫でてやった。
そう、先ほど彼女の腰のあたりを弄ったときと同じ動きで。
こうされるのが、どうも薫は弱いらしい。
繋がれた所から漏れる吐息がたちまち熱くなってゆく。
「けん・・・し・・・」
唇を離すと、そこに居たのは、己だけをその潤んだ瞳に捉えた女の姿だった。
藍のその瞳に映し出されているのは、己を彩る緋色のみ。
なにも、分かっていないんだよ、君は。
どんなに俺が君を欲していたか、知らないだろう?
縛り上げていた薫の掌を解くと、俺は未だ誰も触れたことのない、薫のそこへと指を馳せた。
びくり、と大きく揺れる薫の身体。行き場を失ったその二つの掌を、俺は己の背中へと誘導させた。
「つかまってて」
こくり、と無言で頷く薫の瞳には不安の色が伺えた。大事にしてやりたい。ゆっくりと、あなたがそんな不安を感じなくなるまで、存分に。
けれど、もうそんな余裕など何処にもない。
確かなものが欲しいと願うのは、
俺だって 同じなんだ。
初めて触れるそこに溢れていた蜜はひどく熱く、俺は思わず感嘆の息を漏らした。
このまま中指を膣内に押しやり中を存分に味わいたいが、生娘におそらくそれは辛いだろう。
俺は身体を倒すと、甘い香りを解き放つ彼女の陰部へと口付けた。
「やっ・・・!?け・・・剣心・・・!?」
驚愕と不安、そして僅かな戸惑いが混ざり合った声色で叫ぶ薫。
彼女のそこに唇をあてがったまま、俺は言う。くぐもった声が室内に響く。
「慣らしておかねば、辛いから」
閉ざされた襖の向こうから聞こえてくる、祭りから家路に着こうとしている人々の声と蟲の羽音。
そこにあるのはひどく日常的な光景。けれども今ここにあるのは、どこか夢のような不思議な情景。
だって、そうだろう?
ずっと、欲しかったんだ。
薫のすべてが。
「あ・・・ァア・・・や・・・ッ」
隔離されたこの空間に、唇から漏れる薫の嬌声と、愛液が肌と擦れて生じる粘着性のある水音だけが響く。
俺は薫の膣内へと舌を差し入れ、中を小刻みに弄りながら、同時に指先で陰部の中心より少し上にあった赤く腫れ上がった膨らみを前後に擦った。
「やぁッ!・・・ぁ・・・アァ・・・んぅッ」
留まる事を知らない快感に、薫の声は一層高くなってゆく。それはもうじき出口が差し迫っていることを示していた。
激しくなる愛撫に伴い、加速するそれ。
「や・・・やだッ・・・ァ・・・あぁ・・・やァッ!!!」
膣内が一瞬きゅうと伸縮し、俺の舌を締め付けた。
視界の隅に見える薫の脚はだらんと力を失って、顔を上げて彼女を見れば荒い呼吸を肩で繰り返している。
「・・・薫」
あの人は、何も言ってくれないから。
不安になってしまうのは当たり前でしょう ?
違うんだよ、薫。
あなたへの想いは、簡単に言葉になど、出来ないんだ。
言葉に、ならないんだ。
絡み合うように交差する、熱を帯びた視線。もう、言葉など要らなかった。
「来て・・・剣心・・・」
限界など、とっくに通り越しているんだ。
「くっ・・・」
きつく締めあげるような薫の中は、今までに感じたことの無い深い快感を俺に与えた。
それはきっと、生娘故の膣の狭さとか、そういった類のものではなく。
「薫・・・ッ」
あなたと、結ばれたことへの悦びの深さ。
「う・・・ッ」
やはり鈍い痛みを感じるのか、薫は眉山を歪ませる。
それでももう、彼女を気遣える余裕など、どこにも無かった。
「・・・かお・・・るッ・・・」
俺は薫の腰を掴み、深く己の分身を沈める。
奥へ侵入すればきゅうと、おそらく子宮にあたるのだろう、一段と狭くなった箇所があり、
そこを擦るように腰を幾度か打ち付けてやると、薫の表情が光悦としたものに変わってゆく。
「ア・・・やァ・・・・・あぁッ!!」
甘い痛みの中から確かに生れる快感に、意識をやった女の姿。
二つの眼―まなこ―が捉えるは、咲き誇る一輪の、華。
これは、俺だけのもの。
誰にもやりはしない。
「もっと・・・乱れて・・・」
組み敷いていた薫の身体を抱き起こし、きつく彼女を抱き締めた。一つになっている筈なのに、それでも未だ彼女の中へと入りたいと切に願う欲望が、
どこからともなく俺を突き動かす。腕の中の薫が苦しそうに息を紡いでも、俺は彼女を放そうとしなかった。
「ァ・・・やッ・・・あぁっ」
下から上へとと突き上げる度に繰り返される小さな衝撃は、新たな快感となって、体中を支配する。
それはやがて全身を包み込み、繋がれた所から生じている熱は、もうどちらのものか分からぬほどになっていた。
「剣・・・しっ・・・あぁ・・・ッ!!」
「か・・・おる・・・くっ・・・」
弾けた視界の隅に見えたのは、息を呑む程に美しい、咲き乱れた薫の姿だった。
「少し、無理をさせてしまったでござるな・・・」
情事の熱が未だ残った所為か火照った身体に浮ぶ汗を、すう、と拭い、俺は傍らで眠っている薫を見つめる。
意識を失って、ぐったりと己の腕の中で寝息を立てている薫は、先程とはまるで別人のようにあどけない少女の顔をしていた。
少し狭い額を覆い隠している乱れた前髪をそっと指先で持ち上げて、額に優しく口付けを落とす。
「おやすみ、薫」
気持ちが重さを持つのだとしても、それはきっと誰にも図れないから。
肌で触れ合い、感じ、想いを伝えて。
あなたの温もりを抱いて、今夜は眠ろう。
【終】
後悔と云う名の後書き
女将様(この場合はオーナー様かしら、うふ)のお言葉に甘えて本能のままに突っ走らせて頂いたら、やっぱり来ました"執拗責め緋村"。
ええ、もう、何も弁解いたしません。私の頭ン中所詮こんなんです。
おかげさまで今まで執筆した裏物小説で一番筆が進みました。だって執筆時間約二時間。笑 思い立ったが即日行動。もうどんだけぇ。
だって早く形にしないと妄想(という名の構想)、飛びそうだったんですもの!!
いや、もう本当五月様、【散りゆく華】続き執筆許可有難う御座います。お陰様で完全燃焼!!フウーッ
こんな早智ですが、宜しければこれからもお願いいたします。
【百鬼夜行】早智
執筆時間二時間!
早智様、アナタも好きねぇ〜(ウフ)
もちろんσ(^^)も大ッッッッ好きです!!←強調しすぎ
宿にある本編→番外編と続き、最後には薫殿を食べてしまうというこの一連の流れ・・・おいしすぎる(*´∇`*)
緋村さんの手の動きが怪しくって、そこに悶えました(鼻血)
早智様、また完全燃焼されたいときにはいつでもどうぞ!!
